LWP | Codexモデルと推論レベルの選び方
LWP TECHNICAL ARTICLE | 188
Codexモデルと推論レベルの選び方
Copyright © 2026 LWP 山中 一弘
本資料は、出典を明記いただければ、商用・非商用を問わず、ご自由に複製・改変・再配布していただけます。なお、著作権表示は改変せず、そのまま記載してご利用くださいますようお願いいたします。
記事要約
Codexのモデルと推論レベルは、単純に高い設定を選べばよいわけではありません。まず仕事の複雑さと失敗コストからモデルを選び、次に検証の深さから推論レベルを調整します。本記事では、大量・定型、日常業務、難しい・重要という3つの基準点から、記事作成、議事録、VBA、Power Query、Excel数式、ファイル処理などへ設定を当てはめる方法を整理します。
本記事の対象とゴール
Codexを日常業務で使い、品質と処理量のバランスを取りたい方を対象とします。読み終えたとき、モデルを上げるべき場面と、同じモデルのまま推論レベルを上げるべき場面を区別し、自分の作業に合う初期設定を選べることをゴールとします。
まず、迷ったら次の3つを基本設定とします。
日常業務:Terra / medium
大量・定型:Luna / low
難しい・重要:Sol / high
そのうえで、仕事の難易度と失敗コストに応じて上下させます。
モデル × 推論レベル
| モデル\推論 | low | medium | high | xhigh | max |
|---|---|---|---|---|---|
| Luna | 大量・単純処理 ファイル名分類、定型抽出、一覧化 |
定型処理+多少の判断 議事録抽出、決まったSkill実行 |
狭く定義された難しめの反復処理 形式固定・検証可能な処理 |
原則としてTerraへ上げる | 使用しない。モデルを上げる |
| Terra | 明確な軽作業 単発実装、軽微な修正、明確な調査 |
★ 通常業務の標準 記事、仕様書、VBA、Power Query、Excel数式 |
複数条件・レビュー 複数資料照合、コードレビュー、仕様確認 |
複雑な改稿・重要判断 長文、複雑な仕様、整合性検証 |
原則としてSol / high以上を検討 |
| Sol | 難しいが条件は明確 高度なコードを短く処理 |
複雑な実装 大規模処理、難しい技術作業 |
★ 難しい・重要な仕事 要件矛盾、難バグ、重要レビュー、大規模改修 |
最難関クラス 大規模設計、多資料の整合監査 |
品質最優先 最難関の調査・検証。常用しない |
※ none は推論をほとんど必要としない極めて単純な処理向けです。通常の業務用途では、まず low 以上を考えれば十分です。
1. この表の読み方
最初に「モデル」を決めます。
大量・定型
↓
Luna
普通の仕事
↓
Terra
難しい・重要
↓
Sol
次に、同じモデルの中で推論レベルを決めます。
条件が明確
↓
low
普通
↓
medium
曖昧・例外・検証が必要
↓
high
非常に難しい
↓
xhigh
最難関
↓
max
つまり、
モデル=基礎能力
推論レベル=その問題にどこまで考えさせるか
と考えると分かりやすくなります。
2. 最初に覚える3セル
マトリックス全部を覚える必要はありません。
まずは次の3セルだけで十分です。
| 用途 | 推奨 |
|---|---|
| 大量・定型 | Luna / low |
| 日常 | Terra / medium |
| 難しい・重要 | Sol / high |
この3点を基準にして、必要なときだけ隣のセルへ移動します。
3. モデルを上げるか、推論を上げるか
ここを判断できるようになると、モデル選択がかなり簡単になります。
モデルを上げる
次のような場合です。
指示そのものを理解できていない
文脈を取り違える
曖昧な日本語を誤解する
複数資料の関係を把握できない
例外条件を大きく落とす
たとえば、
Luna / high
で何度考えさせても問題自体をうまく理解できないなら、
Terra / medium
へ上げます。
つまり、
長く考えさせるより、頭そのものを一段上げる。
推論レベルを上げる
次のような場合です。
問題は理解している
答えも大筋では正しい
しかし検証が浅い
エッジケースを落としている
比較・検討が不足している
なら、
Terra / medium
↓
Terra / high
とします。
つまり、
頭は足りているので、もう少し考えさせる。
4. 典型業務をマトリックスへ当てはめる
記事作成
| 作業 | 推奨 |
|---|---|
| 素材整理・重複抽出 | Luna / medium |
| 普通の記事作成 | Terra / medium |
| 複数資料からの記事構成 | Terra / high |
| 難しい技術記事 | Sol / high |
| 大量資料の整合検証 | Sol / xhigh |
議事録
| 作業 | 推奨 |
|---|---|
| 発言者・TODO抽出 | Luna / low〜medium |
| 普通の議事録 | Terra / medium |
| 発言が前後する会議 | Terra / high |
| 契約・重要仕様を含む | Sol / high |
音声録画 → 仕様書
| 作業 | 推奨 |
|---|---|
| 発言分類 | Luna / medium |
| 普通の仕様書化 | Terra / medium |
| 変更履歴・矛盾整理 | Terra / high |
| 複雑な仕様再構築 | Sol / high |
| 多数資料を含む最終監査 | Sol / xhigh |
VBA
| 作業 | 推奨 |
|---|---|
| コメント、名称変更、簡単な定型処理 | Luna / low |
| 通常の修正・開発 | Terra / medium |
| 複数モジュールのレビュー | Terra / high |
| 原因不明のバグ | Sol / high |
| 大規模リファクタリング | Sol / high〜xhigh |
Power Query / M
| 作業 | 推奨 |
|---|---|
| 単純なM式 | Luna / medium |
| 普通のクエリ作成 | Terra / medium |
| 複数クエリ・ライブラリレビュー | Terra / high |
| クロージャー、再帰、型、遅延評価 | Sol / high |
| 大規模ライブラリ設計 | Sol / xhigh |
Excel数式
| 作業 | 推奨 |
|---|---|
| XLOOKUP、FILTER、SUMIFS | Luna / low〜medium |
| 普通の数式設計 | Terra / medium |
| LET、LAMBDA、動的配列 | Terra / high |
| REDUCE、SCAN、再帰など | Terra / high〜Sol / high |
| 数式体系そのものの設計 | Sol / high |
株価データ
| 作業 | 推奨 |
|---|---|
| Skillによる定型収集 | Luna / low |
| データ整形 | Luna / medium |
| 通常の集計・分析 | Terra / medium |
| 複数指標・仮説比較 | Terra / high |
| 分析手法自体の設計 | Sol / high |
ファイル処理
| 作業 | 推奨 |
|---|---|
| ファイル名分類 | Luna / low |
| 大量一覧化 | Luna / low |
| 分類ルールに多少の判断あり | Luna / medium |
| 実際の移動・名称変更 | Terra / medium以上 |
| 削除・共有変更・重要データ操作 | Terra / high〜Sol / high |
大量だからといって、実ファイル変更までLunaへ任せるとは限りません。
「判断を間違えた場合の損害」を別に評価します。
5. データベース形式の一覧
個別用途は、個別用途を次のような一覧にまとめると検索性が高くなります。
| 業務 | 初期設定 | 上げる条件 | 次の候補 |
|---|---|---|---|
| 記事 | Terra / medium | 概念が難しい | Sol / high |
| 議事録 | Terra / medium | 発言・決定が錯綜 | Terra / high |
| 仕様書 | Terra / medium | 矛盾・変更履歴あり | Sol / high |
| VBA | Terra / medium | 大規模・難バグ | Sol / high |
| Power Query | Terra / medium | 言語仕様レベル | Sol / high |
| Excel数式 | Terra / medium | LAMBDA・再帰 | Terra / high |
| 株価収集 | Luna / low | 例外処理増加 | Terra / medium |
| 株価分析 | Terra / medium | 仮説・複数要因 | Sol / high |
| Skill実行 | Luna / low | 判断が必要 | Terra / medium |
| Skill設計 | Terra / high | 複雑な設計 | Sol / high |
| ファイル分類 | Luna / low | 意味判断が必要 | Terra / medium |
| ファイル変更 | Terra / medium | 損害が大きい | Sol / high |
6. 最終的な判断原則
最終的には次の3行へ集約できます。
大量・定型なら Luna / low
普通の仕事なら Terra / medium
難しい、または失敗コストが高いなら Sol / high
そこから、
問題理解が弱いならモデルを上げる。
理解できているが検証が浅いなら推論レベルを上げる。
出典メモ
本記事は、ほえほえ作成の運用整理Markdownをもとに再構成しました。モデル名、推論レベル、利用量の扱いはCodexの提供環境や時期によって変わる可能性があります。ここで示す組み合わせは製品仕様の保証ではなく、2026年8月時点の実務上の選択基準です。
