AI時代に仕事で使えるExcelをどう届けるか
すごい改善の動画コンテンツを、操作解説から実務改善の学習体験へ広げるための企画整理
Copyright © 2026 LWP 山中 一弘
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記事要約
Excel講座は、関数、ピボットテーブル、マクロ、ショートカットなど、機能単位で説明されることが多くあります。しかし、企業実務で困るのは、機能を知らないことだけではありません。表が壊れやすい、引き継げない、集計できない、AIに相談してもよい答えが返ってこない、といった問題は、Excelの操作以前に、業務と表の構造が整理されていないことから起きます。
AIが関数案やコード案を出してくれる時代になるほど、人間側には、Excelの基礎、表設計、業務要件の整理、出力結果の検証力が必要になります。AIはExcelの基礎を不要にするものではなく、基礎のある人が仕事の初速を上げ、判断の幅を広げるための道具です。
本記事では、すごい改善の動画コンテンツを、単なる操作解説ではなく「仕事で使えるExcel」を届ける体系へ育てるために、コンテンツの軸、AI活用の扱い、法人向け評価設計、優先して作るべき動画テーマを整理します。
本記事の対象とゴール
想定読者
Excel講座、eラーニング、動画教材を企画している人
Excel研修を法人向けに展開したい人
AI時代にExcel基礎講座の価値をどう説明するか悩んでいる人
受講者の満足だけでなく、管理者に説明できる成果指標を作りたい人
Excelを「個人の作業効率化」だけでなく、業務改善の基盤として扱いたい人
本記事で得られること
「Excelが使える」を、機能知識ではなく業務成果に結びつく力として定義できます。
AI活用を本編に入れすぎず、基礎講座、応用動画、ライブ、法人向け提案へ分けて設計できます。
法人向けに必要な、確認テスト、アンケート、管理者向けレポートの役割を整理できます。
本記事で扱わないこと
個別のExcel関数の使い方
具体的な動画台本の全文
価格設定や販売ページの設計
特定AIツールの詳細な操作手順
法人営業資料そのものの作成
先に結論
これからのExcel動画コンテンツで前面に出すべきなのは、「関数を覚えること」ではなく、「仕事が進む表を作れること」です。
AIが普及すると、関数やマクロのコードは以前より簡単に生成できます。しかし、どの表を入力として使うのか、何を出力したいのか、AIが出した数式が正しいのか、業務変更に耐えられるのかは、人間が判断しなければなりません。
したがって、すごい改善の動画コンテンツは、次の三層で設計するのがよいと考えます。
本編では、Excelの基礎、表設計、業務で使える考え方を扱う。
AI活用は、別動画、ライブ、ウェビナー、ボーナス動画として扱う。
法人向けには、確認テスト、アンケート、管理者向けレポートを組み合わせ、学習成果を説明できる形にする。
この構成にすると、AIを使える環境の人にも、使えない環境の人にも、同じ基礎講座から価値を届けられます。
第1章(「Excelが使える」を定義し直す)
この章では、動画コンテンツの中心に置くべきメッセージを整理します。最初に定義を固定しないと、講座は機能説明の寄せ集めになりやすくなります。
1.1 「関数を知っている」と「仕事で使える」は違う
一般に「Excelが使える」と聞くと、次のようなスキルを思い浮かべます。
関数を知っている。
ピボットテーブルを使える。
グラフを作れる。
マクロを書ける。
ショートカットを知っている。
これらは重要です。ただし、企業実務で本当に求められるExcelスキルは、それだけではありません。
実務で必要なのは、次の状態を作れることです。
自分だけでなく、他の人も使える表になっている。
後から見直したときに、何をしている表なのか分かる。
入力、加工、集計、確認の流れが分かれている。
業務変更があっても、修正しやすい。
引き継ぎやレビューがしやすい。
集計や分析に使いやすい形でデータを持てている。
つまり、Excelスキルとは、単なる操作スキルではありません。業務を整理し、表の構造に落とし込み、他者と共有できる形にする力です。
1.2 動画の中心軸は「仕事が進む表」に置く
機能別の動画は作りやすく、検索にも乗りやすい形式です。たとえば、VLOOKUP、XLOOKUP、IF関数、ピボットテーブル、マクロ入門といったテーマは、単発動画として成立します。
しかし、すごい改善が前面に出すべきなのは、機能名そのものではなく、仕事上の困りごとです。
たとえば、次のような問題です。
表が横に長すぎて、何を見ればよいか分からない。
同じ意味の列が複数あり、どれが正しいか分からない。
入力欄と計算欄が混在していて、壊れやすい。
集計しようとすると、データの持ち方が悪くて使えない。
作った本人しか直せない。
AIに聞いても、そもそも表の構造が悪いため、よい回答が返ってこない。
このような問題を解決するには、個別関数の説明だけでは足りません。
動画では、次の問いを前面に出すべきです。
よい表とは何か。
悪い表とは何か。
データベース形式と集計表はどう違うのか。
自分用の表と、チームで使う表は何が違うのか。
属人化しない表とは何か。
引き継げるExcelとは何か。
AIに相談しやすいExcelとは何か。
この問いを中心に置くと、すごい改善のコンテンツは、単なるExcel操作解説ではなく、実務改善のコンテンツになります。
第2章(AI時代ほどExcel基礎が重要になる)
この章では、AI活用とExcel基礎の関係を整理します。AIが使えるようになったから基礎が不要になるのではなく、AIの出力を判断するために基礎が必要になります。
2.1 AIは関数案を出せるが、業務判断までは肩代わりしない
AIに「この表を集計する関数を作って」と依頼すれば、何らかの数式案は返ってきます。マクロやPower Queryのコード案も、以前より簡単に得られます。
ただし、AIが出した答えには確認が必要です。
その数式は、対象データに対して正しいか。
空白、重複、例外値があっても壊れないか。
来月のデータにも使えるか。
他の人が読んで修正できるか。
社内ルールに合っているか。
そもそも入力表の構造が適切か。
この判断は、人間側の基礎知識がなければできません。
基礎知識がないままAIの出力を貼り付けると、次のような状態になります。
エラーが出たときに直せない。
集計結果が正しいか検証できない。
表の構造が悪いまま、AIに無理な依頼をしてしまう。
業務要件をAIに正しく伝えられない。
複数案の違いを比較できない。
AIは、Excel基礎を不要にする道具ではありません。基礎のある人の能力を拡張する道具です。
2.2 AIに聞く前に、人間が整理すべきこと
AIを実務で使うとき、最初に必要なのはプロンプトの技巧ではありません。必要なのは、業務と表の構造を整理することです。
AIに相談する前に、少なくとも次の点を決める必要があります。
入力データはどの表か。
どの列がキーになるか。
出力したい結果は何か。
例外条件は何か。
毎回変わるものと固定のものは何か。
誰が使い、誰が確認するのか。
これらを整理できる人は、AIからよい提案を引き出せます。逆に、ここが曖昧なままでは、AIが出す数式やコードも曖昧になります。
だからこそ、Excel基礎講座の価値は、AI時代に下がるのではなく上がります。
第3章(AI活用を本編に入れすぎない)
この章では、動画シリーズの構成上、AI活用をどこに置くべきかを整理します。AIは重要ですが、すべての受講者が同じAI環境を持っているわけではありません。
3.1 企業現場では理想のAI環境を前提にできない
企業現場では、AIの利用環境に大きな差があります。
ChatGPTの利用が禁止されている。
有料版AIを使えない。
Copilotは使えるが、機能が制限されている。
社内データを外部AIに入力できない。
部署や役職によって使えるツールが違う。
セキュリティルールが厳しく、自由な実験がしにくい。
この状況でAI活用を前面に出しすぎると、受講者の現実とずれる可能性があります。
特に法人向けでは、「AIを使えばできます」という説明だけでは危険です。受講者の会社でそのAIが使えるとは限らないからです。
3.2 基礎講座とAI活用講座を分ける
現実的には、次の分け方がよいと考えます。
| 層 | 役割 | 内容 |
| --- | --- | --- |
| 本編 | 全員に届ける基礎 | Excelの基礎、表設計、データの持ち方、確認方法 |
| 別動画 | AIが使える人向けの応用 | AIへの相談方法、数式案の検証、表設計相談 |
| ライブ・ウェビナー | 反応を見る場 | 参加者の質問、実務相談、AI実演 |
| 法人向け補助教材 | 管理者に説明する材料 | 確認テスト、アンケート、管理者向けレポート |
この構成にすれば、AIが使えない環境でも本編の価値は残ります。AIが使える環境では、追加コンテンツによってさらに価値を伸ばせます。
第4章(法人向けでは評価できるExcelスキルが必要になる)
この章では、法人向けに動画コンテンツを展開する場合の評価設計を整理します。受講者本人の満足だけでなく、管理者が説明できる成果が必要になります。
4.1 企業側が知りたいこと
法人向けでは、受講者が「分かりやすかった」と感じるだけでは不十分です。
企業側、特に人事担当者や管理者は、次のようなことを知りたいはずです。
受講者は何を理解したのか。
受講前後で何が変わったのか。
業務で使えるようになったのか。
属人化が減るのか。
引き継ぎやレビューがしやすくなるのか。
管理者に報告できる指標があるのか。
そのため、動画コンテンツだけでなく、確認テスト、スキルチェック、事前・事後アンケート、管理者向けレポートをセットで設計する必要があります。
4.2 一問一答だけではExcelスキルを測れない
Excelスキルには、一問一答で測れるものと、測りにくいものがあります。
測りやすいものは、次のような知識です。
関数名を知っているか。
ショートカットを知っているか。
ピボットテーブルの基本操作を知っているか。
相対参照と絶対参照の違いを説明できるか。
一方で、実務で重要な次の力は、一問一答だけでは測りにくくなります。
表の構造をどう作るか。
入力欄と計算欄を分けられるか。
変更に強い設計になっているか。
他の人が使える形になっているか。
業務要件を表に落とし込めるか。
AIの出力結果を検証できるか。
したがって、法人向けの評価設計では、次のように分けて考える必要があります。
| 評価対象 | 測り方 |
| --- | --- |
| 知識として確認できること | 小テスト、選択式問題、穴埋め問題 |
| 操作として確認できること | 操作課題、演習ファイル、提出物 |
| 実務課題でなければ見えないこと | ケース課題、改善前後の比較 |
| 自己評価で補うこと | 事前・事後アンケート |
| 管理者が確認すること | 業務成果、レビューしやすさ、引き継ぎやすさ |
この整理そのものが、法人向け提案の価値になります。
第5章(まず作るべき動画テーマ)
この章では、優先して作るべき動画テーマを整理します。最初から大規模な講座体系を完成させるより、思想を伝える動画と反応を見やすい動画を先に作る方が現実的です。
5.1 Excelが使えるとは何か
すごい改善の思想を伝える中心動画です。
関数をたくさん知っていることがExcelスキルの本質ではなく、仕事が進む表、他人が使える表、引き継げる表を作れることが重要だと伝えます。
この動画は、個人向けにも法人向けにも使える入口になります。
5.2 AI時代にExcel基礎が必要な理由
AIがあるから基礎が不要になるのではなく、AIを使いこなすために基礎が必要になる、というメッセージを伝える動画です。
既存のExcel基礎講座の価値を、AI時代の文脈で再定義できます。
5.3 よい表、悪い表、引き継げる表
実務者にも管理者にも届きやすいテーマです。
自分だけが分かる表、壊れやすい表、集計できない表を例に出しながら、どうすれば後から使える表になるのかを説明します。
5.4 企業で求められるExcelスキルの全体像
法人向けの基礎動画として有効です。
個人の作業効率だけでなく、チーム、部門、会社で使えるExcelとは何かを整理します。
5.5 Excelスキルチェックの考え方
eラーニング、確認テスト、法人向けレポートにつながるテーマです。
一問一答で測れることと、測れないことを整理し、どのような評価設計にするのかを説明できます。
5.6 ExcelとAIで仕事の成果を出す
AI活用を扱う動画です。
ただし、本編に入れすぎず、別コンテンツ、ライブ、ウェビナー、ボーナス動画として展開するのが現実的です。
5.7 現場のExcelあるある
ライブ配信や短尺動画に向いています。
壊れやすい表、属人化した表、謎のマクロ、手作業だらけの運用などを扱い、そこから改善の考え方につなげます。
第6章(動画シリーズとして整理する)
この章では、単発動画をシリーズに分ける案を示します。シリーズ化すると、受講者にも法人担当者にも、学習の全体像を説明しやすくなります。
6.1 シリーズA:仕事で使えるExcelとは何か
Excelが使えるとは何か
よい表、悪い表、引き継げる表
データベース形式と集計表の考え方
属人化しないExcelの作り方
管理者が見たいExcelスキル
このシリーズは、すごい改善の中心思想を伝える入口です。
6.2 シリーズB:Excel基礎とAI活用
AI時代にExcel基礎が必要な理由
AIに関数を聞く前に考えること
AIに表設計を相談する方法
AIの出力をどう検証するか
会社でAIが使えないときの現実的な対応
このシリーズは、AIを過度に前提にせず、Excel基礎とAI活用をつなげる役割を持ちます。
6.3 シリーズC:法人向けスキルチェック・評価
Excelスキルは一問一答だけでは測れない
確認テストで測ること、測らないこと
事前・事後アンケートの設計
管理者向けレポートで見せるべき指標
受講後に業務が変わったかをどう見るか
このシリーズは、法人向け提案、管理者説明、eラーニング導入後の効果測定につながります。
6.4 シリーズD:ライブ・相談・コミュニティ向け
現場のExcelあるある
会社ごとのExcel運用の違い
参加者のExcel相談をその場で整理する
AIでどこまでできるか実演する
月額コミュニティ向けのExcel相談
このシリーズは、録画教材だけでは扱いにくい個別事情を扱う場になります。
第7章(ライブとウェビナーを先に使う)
この章では、完成版の講座を作り込む前に、ライブやウェビナーを使う理由を整理します。
7.1 AI時代ほど、人が答える場に価値が出る
AI時代になるほど、録画済みの動画や自動生成コンテンツは増えていきます。
だからこそ、人が話す場、質問できる場、相談できる場には別の価値があります。
特に、すごい改善が扱うテーマは、単なる知識ではなく、現場の業務改善です。受講者の表、会社の運用、実際の困りごとは、それぞれ違います。
ライブやウェビナーでは、次のような価値を出せます。
参加者の質問にその場で答える。
実際の業務に近い相談を扱う。
講師の経験談や失敗談を話せる。
法人担当者の悩みに直接答えられる。
市場反応を見ながら、次の動画テーマを決められる。
7.2 完成版より先に反応を見る
最初から完成版の講座を作り込みすぎると、作る側の仮説が外れたときに修正が重くなります。
まずはライブやウェビナーで反応を見て、需要の強いテーマを動画シリーズ化する方が現実的です。
進め方は次の順番がよいと考えます。
すごい改善としての「Excelが使える」の定義を固める。
その定義をもとに、基礎講座、法人向け講座、AI活用講座の関係を整理する。
まずは思想を伝える動画を数本撮る。
ライブやウェビナーで反応を見る。
反応のよいテーマをシリーズ化する。
法人向けには、確認テスト、アンケート、管理者向けレポートとセットで設計する。
最初からすべてを完成させる必要はありません。最初に必要なのは、すごい改善が何を大事にするのかを言語化することです。
第8章(運用に落とすための確認リスト)
この章では、企画を動画制作や法人提案に移す前の確認項目を整理します。
8.1 コンテンツ軸の確認
「Excelが使える」を機能名ではなく業務成果で説明できているか。
よい表、悪い表、引き継げる表の違いを説明できるか。
自分用のExcelと、チームで使うExcelの違いを説明できるか。
AIに相談しやすい表の条件を説明できるか。
8.2 AI活用の確認
AIが使えない企業でも役立つ本編になっているか。
AI活用を別動画やライブに分けられているか。
AIの出力を検証する観点を入れているか。
社内データを外部AIに入れられない場合の注意を扱っているか。
8.3 法人向け評価の確認
確認テストで測ることと、測らないことを分けているか。
事前・事後アンケートで補う項目を決めているか。
管理者向けレポートで見せる指標を決めているか。
受講後に業務が変わったかを見る方法を用意しているか。
8.4 最初に作る動画の確認
最初の動画で、すごい改善の思想を説明できるか。
次の動画へ自然につながる構成になっているか。
個人向けにも法人向けにも使える入口になっているか。
ライブやウェビナーで反応を見られるテーマになっているか。
まとめ
これからのExcelコンテンツでは、個別機能の説明だけでは差別化が難しくなります。
AIが関数やコードを作れる時代になったからこそ、伝えるべきなのは、仕事で使えるExcelの考え方です。
重要なのは、次の3点です。
Excelが使えるとは、関数を知っていることではなく、仕事が進む表を作れることである。
AI時代ほど、AIの出力を判断するためのExcel基礎知識が重要になる。
法人向けでは、動画だけでなく、評価、確認テスト、アンケート、管理者向けレポートまで含めて設計する必要がある。
すごい改善の動画コンテンツは、単なるExcel操作解説ではなく、企業実務におけるExcelの使い方を体系化するものとして育てることができます。
その第一歩は、「Excelが使えるとは何か」「AI時代にExcel基礎が必要な理由」「よい表、悪い表、引き継げる表」といったテーマを、実務成果の言葉で語ることです。
